[京都]「増販の3原則」で売上増 産直品販売店内のうどん店「あすなろ亭」の取組み[会社設立]
平均日商約1.5倍、平均来店数約1.3倍達成
株式会社大沢会計&人事コンサルタンツ/いわて増販増客情報センター 松田径之(岩手県盛岡市)
現在の状況を把握し、問題の原因の分析する
「あすなろ亭」は平成20年に障害者を雇用した産直品販売店の「あすなろ屋羽場店」内に開店しました。ところが、交通量のわりに来店客が少なく、なかなか売上も上がらず、かつその理由もわからないという状況でした。そこで「大沢会計」ではこの店の増販増客のお手伝いをさせていただくことになりました。
まず、問題点の原因を分析するために、来店客の調査、今までの告知方法の検討、財務内容から経営指標との比較を行いました。すると以下のようなことがわかりました。
- 来店客の調査から、来店者は、20~30代の若い年齢層の来店は少なく、40代以上の年齢層の方が7割を占めていました。また、開店当初、交通が多いことから見込んでいた、トラックドライバーなどの立ち寄り客は少なく、実際に来店しているのは店舗近隣の住人が6割を超えていることが分かりました。
- 今までの広報活動は、店舗の外に目立つ看板等は設置されておらず、地元のクーポン雑誌に掲載しましたが、反応はほとんどなく、そのまま放置している状況でした。
- 財務分析から、売上に占める材料費の割合が5割と高いこと。人件費が高いことも分かりました。
以上の現状の問題点と調査結果から3つの販売戦略を立てました。
地元にとの密接なつながりを大切にする
- まず身近な人に狙いを絞ること
- そして季節感のある高付加価値新メニューを考案すること
- 来店客の再来店を促し、顧客化してもらいファンになっていただく仕組みづくりをする
まず、「あすなろ亭」のうどんを、身内=「産直登録農家・産直利用客・近隣住民」にターゲットを絞り、案内します。「地産地消」「食の安全」をキーワードにしている「あすなろ亭」のコンセプトと、食物の安全に敏感になっている消費者、しかも顔の見える身内の消費者とのニーズのマッチングが可能だと思いました。そして産直の野菜を使用した季節感のあるメニューによるイベントカレンダーは、お客様を飽きさせない工夫です。来店客をファンにするためには、ポイントカードの利用やギフトイベントを行うこととしました。
12月に行った具体的な内容は次の通りです。冬のメニューとして「ネギ鍋うどん」を提供しました。冬といったらやっぱり鍋。地元産の紫波ポークとネギを使用したピリ辛スープのうどんです。
身近なところから始まる顧客獲得への道
告知の方法ですが、顧客の心理段階に応じて用意しました。
1.店頭チラシの配布
これは産直品のレジで直接声をかけながら配りました。レジで働くパートの方はご近所さんなど知り合いも多く来店客に直接声をかけることで、自然に「あすなろ亭」にお客を誘導することができました。
2.新聞を使った宣伝
岩手で一番の発行部数のある新聞に記事として掲載されました。新聞社には「食の安全」「障害者雇用という新しい試み」という2つのキーワードを入れてニュースリリースを送りました。 この記事が出た次の日は予想よりもはるかに多くのお客様に来店していただき、満席のため帰ってしまわれる方もいたほどです。
満席時のフォローとして、入りきれないお客様には、、次回使えるクーポン券を配布するようにしました。せっかく来店にしていただいたにも関わらず、気分を害されたままでは、むしろマイナス効果となります。クーポン券を配ることで、お詫びの気持ちを伝え、別の日に来店をお願いしました。また、再来店を促すために、食べていただいたお客様には、ポイントカードの配布を行いました。
さらに、来店客をファンにする仕組みづくりとして、産直ギフトプレゼントを企画しました。先ほどのカレンダーとも連動させ、そのメニューを食べた人を対象としたギフトプレゼントを抽選で行います。当選しなかった人にも割引券を進呈します。この企画の目的はファンづくりの他に、自然な形でお客様の氏名や住所を聞くことです。これにより顧客リストを整備し、次回イベントを行う際の案内状の発送などに活用していきます。
こうした取組みで、「あすなろ亭」の売上は確実にアップしました。11月までの1日当たりの売上が14,700円だったのに対し、12月の1日当たりの売上は21,386円と145.4%。また、1日平均の来店人数は28.8人だったのに対し、37.1人と128%となりました。
今後の発展への課題
これからの課題は、一見客を再来店・顧客化へとしっかりつなげていくことです。これが成功の鍵になるとおもっています。増販の方程式を確立するとともに、反応率の検証をしながら、「あすなろ亭」の増販増客支援を今後とも続けていけたらと思います。
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