[京都]精緻な調査・分析が導いた斬新な切り口で理想的なＣＴ整合、稼働率60％から96％を達成[会社設立]| 京都設立アントレセンター

[京都]精緻な調査・分析が導いた斬新な切り口で理想的なＣＴ整合、稼働率60％から96％を達成[会社設立]

創業75年老舗ビジネス旅館「越後家」に優良顧客を増やす！

東京中央税理士法人/東京増販情報センター　税理士　鴇沢　裕（東京都板橋区）

今や全国に知られる和菓子の一大ブランド・草加煎餅で有名な埼玉県草加市は、かつて大規模な公共工事とともに急激な都市化によって栄えた街でもあります。そんな草加市に立地して、今年で創業75年を迎える「越後家旅館」は、工事現場で働く出張作業員向けの旅館として発展してきた老舗旅館です。

4つの視点（サービス、価格、販売チャネル、販売促進）から、リアルな現状を把握する

宿泊客は出張作業員で90％以上を占め、平均宿泊日数は5日、多い時には2～3週間から数ヶ月、一度に10名以上の団体予約も入ります。4tトラックが置ける無料大駐車場、ランドリーコーナー完備、日替わりの食事はご飯汁物食べ放題、ゆったりくつろげる大浴場で、現場作業員の体を癒してくれます。
何と言ってもアットホームさが売りの、一度宿泊したらやめられない長期出張者向けの旅館なのです。

このようなコンセプトを75年かけて作り上げてきた「越後家旅館」ですが、ターゲットの絞り込みがなされておらず、旅館としての魅力がうまく伝えられていないことから、月々の売上の変動に悩まされておりました。
良いサービスや値ごろ感はあるのに、販売チャネルもなければ販売促進もしていなかったのです。そこで「東京中央税理士法人」で売上のサポートをさせていただくことになりました。

ＡＢＣ分析でターゲットが絞り込まれる

「越後家旅館」の過去2年分の顧客データを売上順に並べてABC分析を実施。リストアップされた法人顧客数150社のうち、売上の上位20％を占める30社で、「越後家旅館」の総売上の71％を占めていることが分かりました（図1）。この20％のAランク法人を優良顧客、Bランク法人を戦略顧客、Cランク法人を将来顧客として位置づけ、それぞれの顧客ターゲットにあわせた戦略を立案しました。

戦略顧客であるBランク法人に対する戦略は、「越後家旅館」の良さを徹底的にアピールする戦略です。高質接触と継続発信、つまり、アットホームな接客対応とアフターフォローの充実で無理なく優良顧客に仕立て上げます。

Aランク法人である優良顧客に対しては、一層の個別対応の充実で、顧客満足度を高めると同時に、口コミ紹介を誘発、身内マーケティングへの土台を築きます。

Cランク法人である将来顧客に対しては、出張作業員に特化した旅館であることを周知せることにより、他の旅館との差別化をはかります。一見客の来店を誘い、「増販の3原則（誘客→再来店→頻客化）」に基づいたプロモーションへと展開、まずは戦略顧客に仕立て上げます。

ICO(In Client Order:顧客内オーダー)を調査して、競合旅館の動きに瞬時に対応

市場は常に変化します。「越後家旅館」にとっての優良顧客が、他の競合旅館に奪われないように、その都度、競合旅館の動きに合わせた戦略を立案する必要があります。図2は「越後家旅館」のICOを示しています。Aランク法人客である「Z設備（株）」の「越後家旅館」に対する評価は非常に高く、競合の旅館を押しのけて上位にいる超安定受注の状態にいます。この「Z設備（株）」に対しては、この好位置をどうキープしていくかという個別戦略が重要になります。

その一方、「Y工業（株）」からの評価は低く、他の競合旅館にシェアを奪われている状態です。シェアトップの「H旅館」は長期滞在貸切プランというサービスでシェアを握っており、これに対し「越後家旅館」は、月間契約プランを用意してトップシェアを奪っていこうという個別の対抗戦略でカバーします。

精緻な調査と分析をして初めて見えてくるＰＴ設計

こうして絞り込まれたターゲットごとに、「増販の3原則」と「3K」をうまく組み合わせたプロセスを設計することにより、営業活動に意図と戦略性が生まれます。つまり「越後家旅館」の良さを、効果的なタイミングで、効果的な場所に、効果的な方法で、効果的な媒体を使って伝えられる仕組みが確立され、その結果、安定的な優良顧客が作り出されるのです。

「越後家旅館」の稼働率は企画開始から約4カ月で60％から96％に達しました。成功の秘訣は、調査と分析によって導き出された理想的なCT整合にあります。CTの整合を常に確認し検証することにより、今後も安定した売上を目指し続けていただければと思います。