[京都]ポイントカードの見直しでファン化を狙え[会社設立]
来店時期と頻度をコントロールして昨年同月比110%達成
株式会社経営シェルパ 代表取締役 間野博樹(岡山県岡山市)
岡山県の2号線バイパス妹尾西交差点角にある「焼肉牛長」は、平成17年5月に以前より経営されていた焼肉店を、それまで店長として勤めていた経緯から、上原隆史社長が引き継いだ店舗です。
当初は既存のお客様を維持していくことに精一杯で、サービスの質を落とさないよう、苦労が絶えなかったようですが、季節に合わせた品揃えや、肉の様々な部位をつかった新しい食べ方の提案と心のこもった接客を徹底して行った結果、既存のお客様はもちろん、新規のお客様にも数多く来店していただき、平成19年5月には「株式会社Ue.cooperation(ウエコーペレーション)」を設立しました。
現在の大不況の中で売上が減少している店舗が多い中、「焼肉牛長」の売上は着実に伸びています。しかし、車通りの多いバイパスに面しているという好立地のため、家賃等の固定費率が高く、粗利益率も一時よりは落ち着きましたが、それでも居酒屋形態の店舗と比べると5~10%程度低いのが現状です。
これらの現状を踏まえ、2店舗目出店へ向けて内部留保額を増やすためにはさらなる売上アップが必要不可欠との共通認識から、「株式会社経営シェルパ」がマーケティングのサポートをさせていただくことになりました。
社長自身がマーケティングの勉強をされ、さらに売上も着実に伸びていることもあり、大きな仕掛けではなく、現状を踏まえた上でのできるだけ低コストで、なおかつ高い実績をあげることのできるマーケティングを提案することになりました。
何度も店舗に伺い、相談する中で、徐々に常連客が増えていることがわかりました。そこに着目し、再来店からファン化への誘導プロセスを確立することが、さらなる売上アップの鍵だと考え、ポイントカードの見直しによる増販を提案しました。
既存のポイントカードの問題点は、4万円分のポイントに対して2,000円の金券をプレゼントするため、ポイントが溜まるまでに期間がかかり、新しい顧客情報が集まりにくい点と、名簿の整理を行っていないので、休眠客や引越し前の住所のデータも多く含まれている点でした。
そこで行ったのが、ポイントカードを2万円分で1,000円の金券プレゼントに作り直しました。これでポイントがより溜まりやすくなり、常に新しい顧客情報を収集でき、Aランクのお客様を明確に特定可能です。
そしてツールにも反応率を上げるための様々な工夫を加えました。以前からポイントカードの顧客名簿は470名でしたが、すでに休眠客となっている方も多く含まれている可能性と、従来のポイントカードからの移行ということで、DM中の文章に「より使いやすく」を強調しました。
さらに反応率を上げるために、期間中に来店いただいた方には1万円分のポイント進呈という特典をつけました。これは、単なる値引きと異なり、ポイントですから当日店側は売上金額をいただけるメリットがあります。またお客様にとっても、全ポイントの半分をもらえるわけで、両者ともメリットがあり、来店を促し頻客化させる効果が非常に期待できます。
もちろん、DMの発送時期にも仕掛けをつくりました。当店の売上が落ち込むのは10月と2月です。ここに来店を促すよう発送しました。来店特典は、1万円分のポイントです。2万円で1,000円の金券として使えますから、10月の来店時に客単価約2,900円で飲食すると、残りは7,000円程度です。
月1回の来店と考えると、11月・12月・1月でポイントが一杯になります。そこでこれまでの名簿と新しく増えた顧客名簿を使い、2月にバレンタインキャンペーンでポイント2倍DMを発送し、誘導するというプロセスを実行しました。
この方法を実行した結果、ポイントカード移行キャンペーンで470枚発送し、以前は10%程度だった反応率が120枚回収の25%の反応率を出すことができました。
また10月の売上は前年比110%を達成し、11月・12月・1月も前年売上を上回り、2月も前年比111%を達成しました。
現在も1~2ヶ月に一度はイベントDMを発送し、着実に効果を上げられております。
しかしマーケティングはあくまで方法論です。この事例で忘れてはならないのは、成功の本当の理由は、社長が平成20年1月に行った経営方針発表会で会社の理念と進むべき方向を明確に示し、全スタッフがそれに賛同し、少しでも多くのお客様にお店に来ていただきたいという思いで接客されていたことだと思います。
「焼肉牛長」は従業員がお客様ノートをつけており、お客様の好きな食べ物や家族構成等を把握して、お客様との距離感を縮める努力をしていたり、社長がお客様の悪口を絶対に言わないなど、当たり前ですが、意外とできていないことを徹底しています。
スタッフ全員に浸透しているため、接客でよくお客様にほめられるそうです。
目標に向かう「焼肉牛長」の成長を今後も期待しています。
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